
| タイトル | フーテンの寅 |
| 作者 | 吉田穂積 |
| 設置場所 | 東京都葛飾区 京成電鉄柴又駅前 |
| 製作年 | 1999 |
| 初出 | 1968 テレビドラマ「男はつらいよ」(フジテレビ) |
「フーテンの寅」は、映画「男はつらいよ」で渥美清が演じた主人公・車寅次郎の愛称。「男はつらいよ」は、大ヒット映画シリーズとして全50作品が作られた。50作品の全ての脚本に山田洋次が関わり、第3作・第4作以外の48作品を山田が監督した。
主人公・車寅次郎はテキヤを稼業とする流れ者。身寄りは葛飾柴又に住む腹違いの妹と叔父叔母のみ。第1作では、家を出奔した寅次郎が20年振りに柴又に戻るところから騒動がはじまる。「男はつらいよ」には毎回、寅次郎が憧れるマドンナが登場する。寅次郎は不器用で純粋、そして愛されることが極めて苦手。その恋は成就することなく、寅次郎は傷心を抱えて柴又を去っていく。
私は映画「男はつらいよ」が好きで、全作品の半分以上は劇場で見ている。その中で特に印象的なのは浅岡ルリ子が扮するリリーが登場する作品。他のマドンナたちは家柄が良く上品で利発、あるいは一芸に秀でたりする、いわば高嶺の花たちばかりだったが、リリーはドサ回りの歌手。寅が初めて本音を言える相手であり、リリーも同じ土俵で寅に真っ直ぐ向き合った。第11作「寅次郎忘れな草」、第25作「寅次郎ハイビスカスの花」も良いが、私は特に第15作「寅次郎相合い傘」の雨の中のシーンが好きで、何年経っても忘れ難い。
この彫刻作品のタイトルが彫られているのは下の写真の角度である。実はこの向きが作品の正面。あえて寅次郎の顔ではなく、その消え入りそうな後ろ姿と、背景に見える柴又への惜別を描いた。寅次郎の、後ろ姿が霞んでいくようなやるせなさだけでなく、見送る妹のさくらや柴又の人々、街の優しさがもう一つの主役である。そして別れが訪れる。柴又は、今日も寅さんの帰りを待っている。


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