「博多ポートタワー」内藤多仲

2023.10 撮影
タイトル博多ポートタワー
作者内藤多仲
設置場所福岡市博多区 博多埠頭
製作年1964(竣工)

内藤多仲は「塔博士」と呼ばれるタワー設計のレジェンド。内藤が設計した6つのタワーは「タワー六兄弟」と呼ばれ、いまでも人々に愛され続けている。タワー六兄弟は、1954年の名古屋テレビ塔を皮切りに、2代目通天閣、別府タワー、さっぽろテレビ塔、東京タワーの順で竣工し、この博多ポートタワーが内藤最後のタワー。六兄弟の末っ子と言われる。内藤多仲のタワー建築のポリシーと経験が全て注ぎ込まれた渾身のタワーと言える。

内藤多仲の設計の基本となるのは堅牢なトラス構造である。この博多ポートタワーも、鉄骨の三角形が機能的に組み合わされている。また、富士山のように四方にがっちりと張り出した脚も特徴で、優美な曲線を作っている。展望階は、重量をうまく支えつつ逃す構造を取り入れている。

内藤は、無駄を省き、力学的に合理的な形を追求すれば、結果として最も美しくなるという確固たる信念を持っていた。その堅牢さを担保するため、計算機しかない時代に、その直感と緻密な計算だけでタワー六兄弟を作り上げた。内藤は、建物やタワー全体の「力の流れ」を直感的に見抜く天才的なセンスがあったという。また、複雑な構造をあえてシンプルな力学モデルに置き換えて計算することで、驚異的なスピードで東京タワーなどの設計図を完成させた。

博多ポートタワーは、民間レジャー施設である博多パラダイスのメイン施設として開業。何度か所有者が移転し、1975年からは福岡市の所管となった。高さ100mと他の兄弟に比べコンパクトだが、冠を被ったプリンセスのような華やかさがある。東京タワーを除き他の兄弟が電波塔として役割を終える中、博多は今もバリバリ現役だ。展望室の上部に博多VHS海岸局「博多ポートラジオ」があり、博多港を行き来する艦船の安全を日々見守っている。六兄弟の中で唯一入場料が無料、唯一全日本タワー連盟に加盟していない。

内藤多仲の設計は、大地にしっかり根を張り、激烈な震動にも苛烈な強風にも揺るがない強靭さがあるが、それは力をうまく逃す機能美に裏付けられている。この時は遠景しか撮影できなかった。次回は登りたい。

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