
| タイトル | ヴィシュヌ像 |
| 作者 | 不明 |
| 設置場所 | 東京都中央区 ナイルレストラン |
ナイルレストランは東銀座にある老舗のインド料理店。創業者のアイヤッパン・ピライ・マダヴァン・ナイル(A.M.ナイル)はインド独立を目指した活動家。1905年にインド南部ケララ州のトリヴァンドラムに生まれたナイルは、高校在学中から独立運動に身を投じ、官憲から逃れるため日本に渡り京都帝国大学に留学する。
日本ではラシュ・ビハリ・ボースや頭山満らと知己になる。ナイルは日本帝国の支援のもと、アジア解放をめざし、モンゴル奥地の調査や満州のロシア社会の調査などに従事し諜報活動に当たった。1941年にビハリ・ボースを総裁としたインド独立連盟が結成されるとナイルは事務総長となる。また、1943年にチャンドラ・ボースがインド独立連盟総裁・自由インド仮政府首班に就任し来日すると、この動きに連携する。終戦後は、東京裁判のパール博士の調査に協力、また、日印平和条約の締結にも関わった。
このような中の1949年、ナイルは東銀座に日本初の本格的インドレストランであるナイルレストランをオープン。現在は3代目に引き継がれ、伝統の味を守り続けている。特にムルギーランチが絶品で、私も何度もいただいた。イエローライスにスパイスが効いた本格カレーが掛けられ、その上には蕩けるように煮込まれたほろほろの骨つきチキン、そして温野菜が添えられる。
ヴィシュヌは、ブラフマー、シヴァと合わせて三神一体(トリムルティ)を成すヒンディー教の最高神の1神。ブラフマーが創造、シヴァは破壊と再生を司るが、このヴィシュヌは維持を司る。世界が破壊的な脅威に陥った時、ヴゥシュヌは世界の守護者として立ち現れ、世界を救う。4本の手に持つのはほら貝、円盤、棍棒、蓮の花。ヴィシュヌが姿を現す時、魚や亀、ラーマ王や仏陀など、10の化身(アヴァターラ)のどれかの姿で出現する。アヴァターラはアバターの語源。
近代の激動の中で歴史と伝統を踏み躙られたインドを護るために現れたヴィシュヌは、誰だったのだろう。


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