「Calamvs Gladio Fortior(ペンは剣よりも強し)」和田英作

2023.1 撮影
タイトルCalamvs Gladio Fortior(ペンは剣よりも強し)
作者和田英作(原画)、小川三知(制作)、大竹龍蔵(復元)
設置場所東京都港区 福澤諭吉記念慶應義塾史展示館
製作年1912(完成)、1974(復元)

1907年に慶應義塾大学は創立50周年を迎える。それを記念し、曾禰達蔵・中條精一郎の設計による壮麗な図書館が建設され、1912年に竣工する。その図書館の大階段には洋画家・和田英作の原画による絢爛たるステンドグラスが設置された。

太平洋戦争が勃発し、日本の敗色が濃厚になると、東京も大規模な空襲をたびたび受けた。慶應義塾大学の図書館も1945年2月15日に被弾する。和田のステンドグラスも粉々に破損した。図書館の修復には数年を要し、ステンドグラスのあった場所には透明なガラスが嵌められた。

このステンドグラスの復元に尽力したのは、オリジナルのステンドグラスを製作したガラス工芸家・小川三知の弟子の大竹龍蔵だった。1971年、喜寿を迎えていた大竹は、ステンドグラスの復元を強く決意した。カラー写真の資料もなく色の再現は困難を極めた。大竹の執念が実り、3年の歳月をかけステンドグラスは完成し、1974年12月10日にお披露目が行われた。しかし、大竹は、完成を見ることなく2ヶ月前の10月10日に急逝していた。職人に最後の色の指示を出した直後だったという。空襲という暴力よって粉々になったステンドグラスが鮮やかに復元されたことは、ペンが剣より強いことを眩いばかりに教えてくれる。

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