「エヴァからもらった大きなリンゴ」堀内正和

2022.11 撮影
タイトルエヴァからもらった大きなリンゴ
作者堀内正和
設置場所東京都清瀬市 キヨセケヤキロードギャラリー
製作年1966

堀内正和は抽象彫刻の先駆者で日本屈指の作家の一人。京都市に1911年に生まれる。子どもの頃から抽象彫刻に興味を持ち、1928年に東京高等工芸学校工芸彫刻部に入学。1929年に二科展に初入賞すると、学校を退学し藤川勇造が主催する番衆技塾に入塾した。藤川はロダン晩年の助手を務めた彫刻家で1919年の二科会創設に関わった。

堀内は、1933年から肺疾患により製作を一時中断。また、1940年から1945までは戦意高揚を促す美術界を批判し作品製作を中断した。特に、敗戦を挟んだ2年間は読書と深い思索の時期を過ごした。1947年から二科展に復帰、1950年から京都芸術大学で教鞭をとり、教育者としても足跡を残した。この作品が製作された1966年に京都芸術大学教授を退官した。まだ55歳。この清瀬の作品は、製作に専念するという決意もこもった作品なのではないかと思う。

堀内は、若い頃から西洋彫刻と日本彫刻を比較研究し、アテネフランセでラテン語、ギリシャ語、フランス語も身につけている。このリンゴは、堀内に珍しく、かなり具象よりの作品。他ではあまり見られない。エヴァは、禁断の果実を口にして楽園を追放された。私たちの前にはエヴァからもらった半かけのリンゴがある。その禁断の蜜を口にして味わうかどうか、私たちはいままさにこの瞬間、試されている。

戦時下に堀内も試されたように。

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