「瞑想」オーギュスト・ロダン

「瞑想」は、文豪・ビクトル・ユゴーの偉業を讃える記念碑の一部として製作された。ユゴーは「レ・ミゼラブル」で名をなした作家。魂を入れ替えた元罪人のジャン・ヴァルジャンと養女コゼットの波瀾万丈の物語だ。

記念碑でユゴーの背後に配置された「瞑想」は、「レ・ミゼラブル」の中で嘆き苦しむコゼットを描いたものだろうか。足の指は大地に食い込み、体幹も不自然なほど傾いでいる。腕の引き絞り方も尋常ではない。単なる美ではなく、心を表現しようとしたロダンの志向がよく表れていると思う。コゼットの引き裂かれた心は、同時に文豪とのお別れを嘆くロダンの心も表現しているようにも感じる。