タイトル | 永き日や つばたれ下がる 古帽子 |
作者 | 不明 |
設置場所 | 東京都豊島区 学習院椿の坂 |
学習院椿の坂にポツンと置かれた山高帽。帽子のサイドに「永き日や つばたれ下がる 古帽子 KAFU」と彫られている。この銘文は、文豪・永井荷風の俳句である。荷風は1879年東京生まれ。父はエリート官僚で、荷風も名門の学校で学んだ。父の意向で24歳の時に銀行員としてアメリカに渡るがなじめず、その後やはり銀行員としてフランスに移る。
荷風の随筆「洋服論」に次の一節がある。「かつまた山高帽は丈夫にて雨にあたりても形崩れず、甚経済なるものなり。夏の炎天にても黒山高帽にてすこしも可笑しきことなし。」往年の写真を眺めても、洋服をきれいに着こなすハイカラさんである。身長もかなり高くすらっとしていたようだ。
乱れた私生活のため、晩年は必ずしも幸せとは言えなかった。1959年に自宅で孤独な最期を迎える。古帽子の垂れ具合に、文学者の人間味を感じる。
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