「ゾウのはな子」笛田亜希

2022.8 撮影
タイトルぞうのはな子
作者笛田亜希
設置場所東京都武蔵野市 JR吉祥寺駅北口
製作年2017

はな子は国内最高齢の69歳まで生きたアジアゾウだった。来日したのは1949年。上野動物園を経て1954年から井の頭自然文化園で飼育され、2016年に惜しまれながら亡くなった。そのはな子の像が2017年にJR吉祥寺駅北口ロータリーに設置された。

はな子にはストーリーがある。井の頭に来て2年目、9歳のとき、深夜、酔って檻に侵入した男性をはな子は踏み殺してしまう。この事件がきっかけで鎖に繋がれていたはな子は、13歳の時またしても事故で飼育員を踏み殺してしまった。2度にわたる事故ではな子には殺人ゾウのレッテルが貼られる。自由を奪われた生活を強いられ、精神的にも参りエサも食べず痩せ細ったという。1960年に多摩動物公園から飼育員の山川清蔵がはな子の担当としてやってくる。山川は着任後わずか4日目に、敵意剥き出しのはな子の鎖を外したという。そして常にはな子に寄り添い、心ない客からの罵声にも盾になった。はな子が山川の手を舐めて愛着を示したのは、実に6年後のことだったという。

像を製作した笛田亜紀は、1974年東京都武蔵野市生まれの気鋭の美術家。作品は絵画(油彩、水墨、水彩)、立体のみならず、それらを用いたインスタレーションも行う。生まれ育った武蔵野に関わる作品を多く製作する。

この笛田の作品はリアルこの上ない。今にもその前足を下ろし、鼻をゆらゆらさせそうな気配に溢れている。精密な造形を目指した誠実な作品だと思う。はな子はあくまで穏やかで、笑っているようだ。

なお、2023年1月1日に、多摩動物公園のアヌーラが推定70歳となり、国内最高齢のアジアゾウの記録を更新している。

(参考)「はな子」のストーリー(井の頭自然文化園)/ホームメイト (homemate-research-zoo.com)

(参考)Fueda Aki 笛田亜希 akifueda.net

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