「車路壁『呪文、ノエマのために(テキスト:石牟礼道子[椿の海の記]、ジェームズ・ジョイス[若い芸術家の肖像])』」ジョゼフ・コスース

2022.12 撮影
タイトル車路壁「呪文、ノエマのために(テキスト:石牟礼道子[椿の海の記]、ジェームズ・ジョイス[若い芸術家の肖像])」
作者ジョゼフ・コスース(Joseph Kosuth)
🇺🇸アメリカ
設置場所東京都立川市 ファーレ立川
製作年1994設置

ジョセフ・コスースは1945年生まれのアメリカのコンセプチュアル・アーティスト。哲学、文学、精神分析などに造詣が深く、自らの作品世界に活かした。

「ノエマ」とはフッサールの現象学上の意識に関する概念で「ノエシス」と対の形で説明される。「考える作用」が「ノエシス」で「考えられたこと」が「ノエマ」。例えば、石牟礼の文章やジョイスの具体的な文章を読むことでいろいろな思考が浮かび考察が進む。これが「ノエシス」で、そうして考えられた具体的なことを通じて、自分の中に形成される概念としての意識が「ノエマ」となる。つまり、石牟礼やジョイスの文章によって形成された鑑賞者にとっての世界の見え方をアートにした作品と言える。

石牟礼道子は「苦界浄土」で、水俣病の被害と患者の苦しみを迫真の筆致で表現した。ジョイスは、歴史的な名著「ユリシーズ」などを書いた作家。

石牟礼の「椿の海の記」は、盲目の祖母との心の交流を水俣の海を舞台に描いた作品。ジョイスの「若い小説家の肖像」は、自身をモデルにした自伝的作品で、多様な文体を駆使した。この作品には、両作品からの引用が刻まれている。読んで変容した鑑賞者の意識こそがアートになる。

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