「気流」三坂耿一郎

1958
タイトル気流
作者三坂耿一郎
設置場所東京都千代田区 自動車会館
製作年1958
備考14回日展特選

三坂耿一郎は1908年に福島県郡山市で生まれる。本名は政治。東京美術大学(後の東京藝術大学)彫刻科に入学し朝倉文夫に師事する。1957年の13回日展に「渺〔はるか)」を出品して特選。そして翌年の14回日展でも連続で特選となったのが、この「気流」であり、三坂の代表作の一つといえる。素朴で柔らかい印象の作品。

三坂の技法の特徴として、隙孔(げきこう)表現がある。隙孔とは、手足や顔などに小さな孔を穿ち、素朴な質感を表現すること。ネットの複数の記事で三坂耿一郎の作品は隙孔表現が特徴だと書いてあるが、隙孔表現の具体例についての記事には辿りつかなかった。

この「気流」をよく見ると、手足や顔などに、確かに小さな孔が打たれているように見える。表面のツルッとした皮膚感覚が嫌だったのだろうか。いわば油絵のように凹凸のあるテクスチャに仕上がっている。これが、隙孔ではないだろうか。さすが日展特選、良い風味に仕上がっている。どこかの美術館にあっでもおかしくない。

左腕と顔
左大腿
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