「マリとシェリー」朝倉響子

2022.11 撮影
タイトルマリとシェリー
作者朝倉響子
設置場所東京都豊島区 池袋西口公園
製作年1990

向かい立つ女性像。朝倉響子の持ち味が光る作品。人物2人を像にする時、普通は寄り添わせたり、何らかの絡み、あるいは連動性を持たせることが多いと思う。この作品のように2人の間にある距離を持たせ、鑑賞者に関心を向けることなく互いに相手を見合うような作品は、朝倉響子以外には知らない。この作品が描こうとしているのは明らかに「関係性」だと思う。右の女性はポケットに手を突っ込み、左の女性は所在なさげな手と足の動き。手を伸ばしてもギリギリ届かない距離。目も合っていない。手探りで、お互いの関係性を測っているようにも見える。

朝倉響子は人物と人物、人物と鑑賞者の関係性を問いかける作品が多いと思う。朝倉響子、本名は朝倉矜子。朝倉文夫の次女である。日本画家・舞台美術家の朝倉摂は姉。1925年に東京で生まれる。父・文夫は東京藝術大学で教鞭をとっており、「他人の子を育てている自分が、自分の子供を育てられないことはあるまい」との持論から、朝倉摂、響子の姉妹には一切の義務教育の学校に通わせず、家庭教師により教育を行った。従って、響子と摂の学歴はない。同世代の子どもとコミニケーションをとることが少なかったであろう朝倉響子の、関係性への願いが込められた傑作なのではないだろうか。

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