
タイトル | ママン(MAMAN) |
作者 | ルイーズ・ブルジョワ(Louise Bourgeois) |
🇫🇷フランス、🇺🇸アメリカ | |
設置場所 | 東京都港区 六本木ヒルズ |
製作年 | 2003 |
六本木ヒルズに巨大に蜘蛛が棲息している。製作したのはルイーズ・ブルジョワ。フランスで生まれ、アメリカで活躍したアーティスト。ルイーズは、1911年にパリで生まれる。実家はタペストリー工場だった。ルイーズは、ソルボンヌ大学で数学、哲学を学んだあと、美術に傾倒する。1938に、アメリカの美術史家ロバート・ゴールドウォーターと結婚し、なかば駆け落ちをするように渡米する。子育てをしながら創作する彼女の作品につきまとうのは、いいしれぬ不安と拭いされない恐怖の表現だった。中年期に重いうつ病を患ったルイーズは、精神分析を受け、恐怖の根源は少女期に家庭で経験したトラウマだったとわかる。
ルイーズの父は横暴な性格で、家族に対して支配的に振るまっていたようだ。また、住み込み家庭教師と不倫関係にあった。家庭の不和がルイーズの魂を苛んた。また、1930年には母親をスペイン風邪で喪う。20歳のルイーズが献身的に介護をしていたという。母を亡くしたルイーズは川で自死を試みるが父に助けられる。
2024年9月から翌年1月まで森美術館で開催された「ルイーズ・ブルジョワ展:地獄から帰ってきたところ 言っとくけど、素晴らしかったわ」は、ルイーズの人生を辿る素晴らしい展覧会だった。蜘蛛の別バージョンもいくつか展示されていたが、その一つは、蜘蛛の胴体の下が鉄の鳥籠のようになっており、その中はまるでタペストリー工場のように構成されている。自ら糸を紡ぎ続ける蜘蛛は、ルイーズにとって、恐ろしくも安らかな自らの家の象徴だったのだろうか。
ルイーズはフェミニストの作家とされ、女性が味わう不安や恐れをアートの形にした。その根底には、家庭への絶望と、しかし捨てられない家庭への強い愛着という相反する心のあり方があったことが伝わってきた。
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