「ディスコロボス像(円盤投げ像)」ミュロン

2022.9 撮影
2025.1 撮影
タイトルディスコロボス像(円盤投げ像)
作者ミュロン(Μύρων)
🇬🇷古代ギリシャ
設置場所東京都新宿区 国立競技場
製作年紀元前450年頃(オリジナル)、1964(複製)

この作品は、紀元前450年頃に古代ギリシャでミュロンにより製作された。古代ギリシャ時代は、ミロのヴィーナスやサモトラケのニケなど、彫刻の文化が花開いた時期。このミュロンのディスコロボス像も古代ギリシャ時代の名品の一つ。しかしなから、ブロンズと考えられるオリジナルは現存しない。現存するディスコロボス像の多くは紀元2世紀頃のローマ帝国の隆盛により勃興したローマ美術の時代に複製されたもの。しかし、その複製の過程でいくつものバリエーションが生まれた。

有名なものは大英博物館のものとローマ国立博物館のものだか、この二つは顔の向きや円盤の角度か違っている。ローマのものは顔を横向きにして右手の円盤の方を向いているが、大英博物館の像は顔を正面下の方の地面を向いている。このロンドンの方の特に人体の構造上不可能な姿勢であり、円盤を投げることも困難である。

古代ギリシャのオリンピックは、紀元前8世紀から紀元前4世紀にかけて開催されており、記録に残る最古の大会は紀元前796年。当時のフレスコ画にブルリーピング(闘牛)、タンブリング(床運動)、ランニング、レスリング、ボクシングなどが描かれ、「イーリアス」、「オデッセイア」などの書物にも、戦車レース、短距離走、フェンシング、アーチェリー、槍投げ、円盤投げ、走り幅跳びの記述がある。

この像は、1964年1月に西武百貨店で開催された「1964オリンピック展」に出展するためにローマ国立博物館から取り寄せた「円盤投げ」の複製。1792年に、イタリアのハドリアヌス帝の別荘でこの彫刻は発見された。ハドリアヌス帝は紀元138年生まれ、ローマ元首を務めた偉大な皇帝。

古代ギリシャ時代に作られたとは思えない、ダイナミックでスピード感のある作品。いま、日本の野外で自由に味わうことができるのは、この上ない幸甚である。府中にも屋外設置されている。

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