「おでかけ」藤原吉志子

2022.10 撮影
タイトルおでかけ
作者藤原吉志子
設置場所埼玉県春日部市 学校どおり
製作1996

藤原吉志子の印象深い作品。巨大なウサギが家を飛び出してお出かけ。不思議な作品。

(作者コメント)
 地球の裏側から春日部という場所を思い浮かべるとき、頭の中にまず丸い地球を思い描いてそこに日本列島を探します。日本列島をランドサットが通過するような感じでグルグルと俯観した、関東平野当たりでフォーカスを絞りやっと春日部に到着します。 時には効率よく地球儀を省いていきなり日本列島のイメージが浮かんでくることもありますけれど、距離が遠くなればなるほど手続きの手順が多くなります。思いを寄せるという事にはエネルギーがいるものですね。
 さて、意識が地球上の上空を旅するとき、はるかアフリカの国々やボスニアを始めとする旧ユーゴの紛争、クルドやチェチェンやパレスチナの悲劇、アラブの問題、テロ、貧困、病、公害、自然破壊…世界には心の痛む事の多いのが解ります。だから私の作品はいつもそういったことに関心を向きそのようなテーマになってしまうのです。その不幸の多くは国家や民族のエゴイズムとメカニズムによるもので、突然平和な家庭や社会が破壊されてしまったりするのです。
 私はウサギに平和を託しました。 心躍る出会いの為に、友情の為にさっそうと出かけようとしているウサギです。国家間の歪んだ関係やプライドを越えて、個人という人間同士の付き合いの為に精一杯正装して出かけようとしています。モチーフがウサギなのに人間同士というのもおかしいのですが、様々な文学に登場してくるウサギの社会は、人間そっくりなので、ウサギの形を借りました。 今、わたしの頭の中の地球儀の上をフロックコートのウサギが足早に急いで行くのが見えます。日本列島の春日部あたりから出てこちらに向かっているに違いありません。

「かすかべ遊学」HPより引用
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