「戸山ヶ原(仮)」

タイトル不明
作者不明
設置場所東京都新宿区 コズミック通り

1874年(明治7年)、戸山ヶ原に陸軍の練兵場が開かれた。東洋一と言われた7棟の射撃場があり、武蔵野の豊かな自然環境は演習のない時は市民に提供され、子どもの遠足にも使われたという。

タイルには、日野熊蔵中尉のことが書かれている。1910年3月に、日野は戸山ヶ原で自作の単葉機の実験をするものの失敗している。これが日本初の飛行機実験だった。

陸海軍の臨時軍用気球研究会でも国産の飛行機の開発が進められていた。日野中尉の実験と同年の1910年10月30日に、ここ戸山ヶ原練兵場で別の国産機の試運転が行われた。開発したのは天才エンジニア・奈良原三次。研究会の決定により25馬力のエンジンしか使えなかったため10月30日の試運転は出力不足により失敗に終わった。奈良原の開発した複葉機「奈良原式1号」も日本国内初飛行は叶わなかった。

1910年12月19日、日本で初めて飛行機が飛んだ。輸入機であるフランス製のアンリ・ファルマン機である。代々木の練兵場がその舞台、飛んだのは徳川好敏と、3月に自作の飛行機で飛べなかった日野熊蔵だった。

翌年1911年5月5日に、所沢練兵場で、フランス・ノーム社の50馬力のエンジンを積んだ「奈良原式2号」は日本初の国産飛行機として大空を駆け抜けた。前年10月の実験で50馬力のエンジンを使っていたら、日本の飛行機の初飛行は国産の機体だったかもしれない。歴史の綾である。

ここに設置されているタイルには、グラント将軍のこと、洋式競馬のこと、ツェッペリン号のことなど、楽しく書かれている。1879年(明治12)にグラント将軍の来日に合わせ、突貫工事で洋式競馬場を戸山ヶ原に作った。これが近代競馬の源流になる。彫刻は軍靴、ゲートルと双眼鏡だろうか。こういうモニュメントを見て歩くのは本当に楽しい。

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