「光に打たれる悪魔」北村西望

2022.8 撮影
タイトル光に打たれる悪魔
作者北村西望
設置場所東京都武蔵野市 井の頭自然文化園
製作年1917

1917年の文展に出品された作品。この年から西望の作品は無審査となる。文展では基本的には審査で入賞した作品が展示されるが、過去の実績から審査不要とされた作家は無審査で展示される。

この「光に打たれる悪魔」はまるでロダンである。均整のとれた美しさより、内面からの感情の表出をさらけ出す。1915年の「怒涛」と同じ人物がモデルか。その人物の「魔」の部分が炙り出され、責め苦にあい悩んで体をよじる。その不自然な首の曲がり、指のもがく表現。自彫像かもしれない。

「東洋のロダン」といえば朝倉文夫のことだが、人物の感情のゴツゴツした表出という感じからすると、この言葉に相応しいのは個人的には北村西望の方だと思う。朝倉文夫は私に言わせるなら「東洋のミケランジェロ」である。正確で人間の美しさに真っ直ぐ寄り添う作像は他の追随を許さない。

北村西望、朝倉文夫、建畠大夢は1907年に東京美術学校に入学した同期であり、戦前から戦後の日本の彫刻界を牽引した。1912年に首席で大学を卒業したのは北村西望だった。

初期の西望の志向をあらわす興味深い作品だ。

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