
タイトル | セクメト神像(Sokhmit) |
作者 | 🇪🇬エジプト |
設置場所 | 東京都中央区 アーティゾン美術館 |
製作年 | 紀元前14世紀 エジプト第18王朝 |
エジプトの古代文明は紀元前5000年頃から始まる。統一王朝が成立したのは紀元前3150年頃で、上エジプトと下エジプトを統一したメネスが第1王朝を開き、上下の結節点メンフィスを王都とした。このセクメト神像は第18王朝のころ作られたと考えられている。今から3500年前、このサイトの彫刻のなかでもダントツに古い。
セクメトはエジプト神話の破壊神。最高神である太陽神・ラーの娘。歳老いて力が衰えたラーは、世界を監視するため片方の目を抜いて娘・セクメトを作った。まつろわない人間たちを従わせるため、セクメトは人間界で殺戮を繰り返す。やり過ぎを恐れたラーは、赤いビールを飲ませ、酔わせてセクメトを止めた。それが理由でエジプトの砂漠は赤くなったという。また、セクメトは伝染病を起こす神でもあり、その吐く息は人間に疫病をもたらす。セクメトの顔はライオンで体は人間、頭上には世界を焼き尽くす灼熱の太陽が載っている。
3500年の時間、エジプトまでの1万㎞近い距離も文化も超えて、神への畏れと崇敬が鮮やかに伝わってくる。表現は、人間の持つ本質的な特性なのだと思う。古代エジプトは神道と同じような多神教の世界。太陽神ラーや破壊神セクメトはメンフィスで深く信仰された。紀元前の古都の、乾いた灼熱の風が通り過ぎる。
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