
タイトル | GOMBESSA |
作者 | 松本哲哉 |
設置場所 | 東京都江東区 西深川橋台敷 |
製作年 | 1990 |
怪魚である。ゴンベッサは、コモロ語で古代魚「シーラカンス」を表す言葉で、「幸福」も含意する。シーラカンスは白亜紀の化石として知られており絶滅したと考えられていたが、1938年に南アフリカの希望峰付近で生体が捕獲され、世紀の大発見となった。
この個体を同定した南アフリカ・ロードス大学のジェームズ・レナード・ブライアリー・スミス教授は、2匹目の個体に100ポンドの懸賞金をかけたが、2匹目が捕獲れたのは14年後、場所も3,000㎞も離れたアフリカ東部のコモロ諸島だった。コモロ諸島では、稀にこの魚が網にかかることがあり、肉も美味しくないので、現地語でGOMBESSA(役立たず)と呼ばれていた。肉はたいへん不味く、繊維の束のようで、食べた人によると水に浸けた歯ブラシのようだという。しかし現在では、釣り上げると高値で売れるのでGOMBESSAは「幸運を呼ぶ」という意味に変わったということだ。
最初に発見された南アフリカでは、その後ほとんど確認されず、コモロ諸島で現在まで200匹程度が捕獲されている。他にインドネシア周辺に1種類が生息していることが明らかになった。
普段は、暗い深海でひっそりと暮らしている。釣り上げられたゴンベッサにとっては幸運どころか大不運であろう。怒りの咆哮が聞こえてくるようだ。不運も幸運も、そう簡単に決めることはできない。
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