
タイトル | 換気塔「イーデーの山(少年パリスはまだ羊飼いをしている)」 |
作者 | 岡﨑乾二郎 |
設置場所 | 東京都立川市 ファーレ立川 |
製作年 | 1994設置 |
岡﨑乾二郎は1955年、東京生まれの造形作家・批評家。多摩美術大学中退。東京大学大学院客員教授、武蔵野美術大学客員教授。絵画や彫刻、建築、ランドスケープデザイン、舞台美術など活躍は多岐にわたる。
この作品は、1955年からここ立川で起こった砂川闘争をモチーフにしているという。当時、在日米軍はジェット爆撃機が発着できるよう米軍立川飛行場の拡張を要求、国も同意して計画がすすめられた。これに反対した砂川村(現・立川市)の住民や学生が立ち上がり、反対運動を展開した。1957年には柵を乗り換えたデモ隊の23人が逮捕され、7人が有罪判決を受ける砂川事件も起こった。最終的には23人の地主が立ち退きに応じず、1968年に米軍は滑走路延長中止を決定。翌1969年に横田基地への移転を発表した。立川の米軍基地の用地は全て日本に返還され、ファーレ立川を擁する立川の今につながっていく。
この作品からは、カラフルなバリケードも連想される。立川の歴史を冷徹に伝える尊厳を感じる。
タイトルになっているイーデー山のパリスとは、ギリシャ神話の登場人物。トロイアの王子だったが、夢のお告げで災厄をもたらすとされ、イーデー山に捨てられた。本人も王子であることを知らず羊飼いをしていた。まだ自分が何者か知らない少年。後にパリスはトロイア戦争の原因となる。立川が米軍の街だったころ、立川も、自分が何者かよく知らなかったに違いない。そしてこれから先も変貌すであろう街の行方は誰が知っているのだろう。
この作品は、高島屋改装に伴い撤去されると2022年に発表されたが、存続を求める要望書も送られ、現状のままの保存・展示が決定した。嬉しいニュースである。
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