「湯島聖堂大成殿」伊東忠太

2024.10 撮影
タイトル大成殿
作者伊東忠太
設置場所東京都文京区 湯島聖堂
製作年1935

湯島聖堂は儒学の殿堂である。大成殿は儒教の始祖・孔子を祀る孔子廟。

1690年に、時の将軍五代徳川綱吉が、上野にあった林家の廟殿と家塾をここ湯島に移した。日本の儒学の大家・林羅山から3代目にあたる林鳳岡は綱吉の信任が厚く、湯島移転と同時に大学頭に任命された。建造された聖堂は、朱塗りで青緑の彩色があったという。

1797年に林家の私塾から幕府直轄の「昌平坂学問所」に改組された。建物も新たに整備され、学問所は多くの有為の人材を輩出した。明治に入るとここに文部省が置かれ、国立博物館、東京師範学校、東京女子師範学校も併設された。

1923年に湯島聖堂は関東大震災により激甚な被害を受ける。入徳門と水場を除く全ての建物が焼失した。湯島聖堂を再興したのは斯文会。1880年に東洋の学術文化の交流を目的に岩倉具視、谷干城らにより設立された斯文学会を始祖とする会。寄付を募り、稀代の建築家、伊東忠太に設計を依頼した。施工は大林組。

伊東忠太は、西洋建築学を基礎にしながら、日本建築を本格的に見直した人物。東京帝国大学名誉教授、早稲田大学教授などを務めた。「建築」という言葉を定め、普及させたのも伊東忠太だった。

1935年に、寛政時代の様式を再現しながら、鉄筋コンクリートを採用した壮麗な大成殿が完成した。銅板葺き、入母屋造。不燃耐震である。伊東忠太の入魂の傑作は、時を止めるような厳かな空間を現出している。

パブリックアート散歩 - Google マイマップ
ブログ用地図

コメント

タイトルとURLをコピーしました